私はどっちかというと
理系ミステリー(数学とか科学とかで解決するタイプ)が好きなんだけど、
今日はしっかり文系ミステリーで行きましょう
Contents
古川日出男『4444』あの頃何が起きたのか、登場人物すら謎の本
この本は、河出ウェブマガジンで連載されたもののようなんですが、
とにかく、シュールレアリスムの自動記述か、と思うくらい、
無意識部分で私達が共感できるような、できないような話。
「この感覚わかる?わかるひとが共犯者ね」みたいに、
読者が理解できそうな感覚のギリギリの部分で優越感を感じさせる
独特な文体です。
ストーリー的には4年4組の同窓会があるらしく、
当時の同級生のカップルがいたり、
現代のそれぞれの仕事模様、結婚・妊娠、
当時のクラス新聞の回想、
理由があり居なくなった(おそらく亡くなった)同級生の独白、
担任の授業、用務員さんのつぶやき…
そういった散文詩的な文章が、
集められた物語。
Twitterで読んだ人の感想見ても、みんな、なんとなくの解しか得られなかった模様。
だけど、わからないから面白くないんじゃなくて、
なんとなくわかるのと、各話の題名が気になりすぎて、ちょっと
一杯やりながら読むのに最高に面白かったです。
晩酌がてら読むのにぴったりだった。#古川日出男 #よんよんよんよん pic.twitter.com/n6URfKiEO3
— やこ@住宅と育児と図書と絵も描く人 (@ufqlytUIzMrnioZ) June 11, 2021
私の中で一番印象に残った、キーセンテンスがこれ。
この四年四組の、いわば人口がふえる。
それでもこのクラスは一クラスでしかない。
おまえたち一人ひとりが、つまり、=1だ。これが四年四組の定理、あるいはアンドウの四四定理だ。おまえたちは無限に、1だ。
『4444』より一部引用抜粋
そして、この安東先生のクラス定理が、
私にとって、このあとの王道のミステリーを解く鍵になったのです。。
東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』どこまで久我くんの視点を追えるか…
既に大体の想定はついてしまっていたけど。
本書の特色は、
本文と【久我和幸の独白】というパートで成り立っています。
舞台上でみんないるのに1人だけスポットあたって語り出すとか。
あんまりネタバレになるので言いたくないのですが、
4日間、泊まりの舞台稽古っていう設定の中で、人がどんどん消えていくんだけど、
芝居なのか事件なのか。久我くんと一緒に推理してみよう。というところ。
もちろんこの後紹介する、『そして誰もいなくなった』
(本当にみんな死んじゃうミステリー)だと思うのだけど、
ここで『4444』で感じた「みなしの概念1(アンドウの四四定理)」を使うと
ラストそこまで驚きがないんだよね。
転校生がいたり、居なくなる子がいたり人数が増減するでしょ、
また、当然ながら一つの事象(出来事)が多数の視点で捉えられていて、
およそ「1」とは言えない代物を、
1つの4年4組として、集団妄想として捉えているんだよね。
つまり、知らず知らずのうちに、
読者は「犯人が誰か」と考える時に単純化して、
この事件(4年4組という物語)は
毎日1人ずついなくなることと、
(アンドウ先生の四四定理だと、クラスの人数が増減するけど、一人ひとりが1であるから無限に1)
今いる雪山のペンションなり絶海の孤島という環境1つしか舞台はないよ!という条件を
(アンドウ先生の四四定理だと、4年4組)
思考に植え付けられちゃうから、
見事、騙されちゃう気がする。
まあ、これ以上はネタバレするから言わないけどさ。
こんなにいろんなことが起こっていて誰かーーーー(自粛)ーーーーーのよ。
アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』上品で冷酷なミステリーの女王の代表作
読もうと思えば読めるものは後で読むの。
これも簡単に説明すると、
リゾートに招待された客が、次々と部屋の額にあるインディアンの童謡通り、
殺害されていくっていう、
(客は客でそれぞれいわくつきなんだけど。)お話です。
王道すぎるから言っちゃうけど、
こちらも、ずっと犯人(殺人を犯す人間)は1人なのだろうか、
とずーっと思いながら読んでました。
共謀ではなくとも、成り行きで偶発的に起こり得ることもあるんじゃないかなーとか。
ちゃらんぽらんな人間が一定数いることを信じて疑わない。
ゆえに、一定数人を疑っている。
https://pdmagazine.jp/background/knox/ (P + D MAGAZINE【クイズで学ぼう!】「ノックスの十戒」って? 書き手なら知っておきたい推理小説のルールより)
そんなわけで、ミステリーじゃない本もミステリーに結びつけてしまう
強引ならこ先生でした。
読みすぎると疲れちゃうからたまにでいいかなー。
ちなみに、数学ミステリーはずーっと読んでいられます\(^o^)/
それは別記事で♪今日もお読みいただきありがとうございました!