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9文学

久保田香里『氷石』−コロナ禍の今読みたい奈良時代の疫病本

都を襲う疫病の中でひたむきに生きた市井の人を描く本、久保田香里『氷石』。

天平9年(737年)夏のもがさ(天然痘)の流行り病は、

高貴な人も庶民も、

太政官(国政を司る平城宮の中枢)も下働きの者も、

すべての者から命を奪っていった。

ふゆきくん
人類の歴史は感染症との戦いの歴史でもあるから

そんな時代に、

父を遣唐使船で見送った後、

一家が傾きもがさ(天然痘)で家族も失い1人きりで生きる少年千広と

身寄りがなく屋敷の下働きをする少女宿奈が

水晶のように純粋な気持ちで惹かれ合うお話。

らこ先生
の、ように思える表紙ではあるのですが、

多分これはテーマは、

疫病の都で生き抜く主人公の内に秘めた向学心と

帝の后の置いた施薬院という治療施設の功績だと思う。

なーやん
光明皇后ね
らこ先生
おっ、さすが高校日本史教科書7回近く読んでるだけあるね
なーやん
(小学生の設定の)今は読んでないよ。それは30年後だよ。
らこ先生
ともかく、私…特に日本史苦手なんだよねぇ…。

そんな私でも何とか思い出せた、唐への留学生派遣使節団「遣唐使」、

これは命懸けの渡海だったらしく、

 

主人公千広も父親が、自分たちを置いて、

よくも唐から(使節は数年だけど残ってさらに学問を極める人も)帰らずにいるな!と

 

言っているものの、事故でそのまま帰ってこないことや、

遣唐船内で天然痘で亡くなり、海に捨てられた人など沢山いたようです。

 

らこ先生
そんな暗い時代のお話ですがー

何よりも面白かったのは、最初は千広が

河原の小石を平癒の祈祷石といって商売していたのが、

そのうち、

木札(今で言う木簡)に

疫病退散のおまじないの漢文を書いて(もともと学者の息子なので上手い)

売り始めたり、

施薬院の薬庫のラベル作りを木簡で管理したりするところのディティールでした。

 

薄く木札をスライスしたり、墨で文字を書いたり、

また、使えるようにまた木札を削ったり…。

なーやん
やりたいやりたい!

あとがきによると、

1,300年以上前のそれら発掘された当時の木簡は

学問や行政文書としてはもちろん、

今の紙と同じように、字の練習跡や九九が書いてあったりしたそうです。

らこ先生
歴史小説苦手な私でもかなり面白かった。だけど…
なーやん
だけど?
らこ先生
失礼な話だけど、挿絵を、天野喜孝さん(FFといえばわかる?)とか、ちょっとシャープな感じの人の方が…に、人気かも…
みんみ
あ、ホントだ。飯野和好さんて、『おならうた』とか

はるさん
「しっこさん」だね…

らこ先生
あと、『ねぎぼうすのあさたろう』とか…ってか、はるさん、似てるよww

 

あっきー
画に飯野さんを選んだのは、くもん出版だからじゃない?
セイヤ
確かに、「くもんの児童文学」ってある
らこ先生
それにしては難しめだったよ。だからアラフォーにオススメする。

そして、このコロナ禍で苦しむ人へ、疫神なんかに負けないぞ!って。

 

たぶん、この本初版の2008年に読んでいたら、

「へー昔の人って石に頼ったりして…非科学的ー」って思うだけかもしれないけど、

今なら、街中に行き倒れた人、罹患者で機能しない行政の中で、

彼らがどうやって生きていたんだろうって、思いを馳せやすい

のではないかと思います。

ぜひ、身近に見つけたら読んでみてください。

今日もお読みいただきありがとうございました!

 

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