運動会も無事に終わり、久しぶりの図書室。
肩の荷が下りたのかちょっと気持ちの緩んでいる子どもたち。
いつものメンバーが集まってお話をしています。
…東京にはいるんだよ。
池みたいになった砂場でバシャバシャと水浴びをして遊んでたの。
カラスについて知りたくなったんだよね。
Contents
『カラスのいいぶん』の絵を書いた岡本順さんの挿絵の、4年生以上におすすめの本
というわけで、
都会の害鳥とされるカラスの
驚くべき賢さは知っていたものの、
より詳しくは知らなかったので
嶋田泰子さんの『カラスのいいぶん 人と生きることをえらんだ鳥』という
最近図書室に入れた本を読んでみました。
※全部読んでから選書しているわけじゃないの(司書のウラ側
カラスという真っ黒な鳥をつややかに表情豊かに描くのは岡本順さん。
ちょっと検索してみたら…
今井恭子『歩きだす夏』の表紙も!
佐藤さとる『宇宙からきたかんづめ』も!
では、最後にこれだけは紹介させて−−−。
マンションのエレベーターに骨董品の人形が乗ってくる恐怖!
伊藤遊『つくも神』
不思議な世界が感じられるぎりぎりの年齢の主人公がとまどいながらも体験するノスタルジーと、
リアルに兄ちゃんちょっとグレ気味で家族が触れづらい現実感、
でも、心の中の大切なものは実は奥底に眠っていただけで、忘れていないっていう
ハッピーエンド。
らこ先生、
みんなに、
4年生で『宇宙からきたかんづめ』読んだ後、
5年生で『歩きだす夏』読んで、
6年生で『つくも神』読んで欲しいなー。欲しいなー。
いくつかのカラスの驚くべき知能犯エピソードに加え、名前をつけて観察した筆者の姿
そうです。
『カラスのいいぶん』では、
全ふりがなつきなので1年生から実質読むことができます。
もし、1年生に読ませたいなら読み聞かせで全16章を親子で読んでいくのも
良いでしょう。
ただし、それなりの長さと説明文に慣れている3年生が1人読みするのに適しているとも言えます。
国語の教科書っぽいのはやや避け気味のような気がします。
それでも、この本は私達が観察しようとすればいつでも身近にいる動物なので、
読んでいくうちにどんどんと彼らの学習能力や
コミュニケーションの愉快さに引き込まれていくことでしょう。
とくに私がスゴイなと思ったのは、
貯食(食べ物をためておくこと)で作り出す自由時間で遊ぶという点です。
その遊びによって一層彼らはこの世界の物理法則や人間観察・環境適応をなし得ていくのだとすると、
これは、我々とほぼ同じような文化的発展を遂げていく可能性のような気がしてなりません。
はじめはカラスのことを憎らしく思っていた筆者の嶋田先生ですが、
だんだんと調査観察を重ねるうちに、各個体に名前をつけ、さらにコミュニケーションを図ろうと試みます。
非常に読みやすく、最後まで楽しませていただきました。
自然ノンフィクションで私達が感じなければいけない大切なこと
一点。やはり徐々に感情移入してしまう筆者の行動は、
ハトに餌付けをしてしまう人の気持に通づるのかなぁ…と思いました。
私も確実に同じことをしてしまいそうですが。
(筆者はその行動によって起こりうるカラスへの悪い影響を考え、
極めて注意深く行動していました)
私がこういった自然ノンフィクションで子どもたちに少しでも感じてほしいことは、
私達の生きる自然界は、
プログラミングで学べるような、
トライ&エラーの繰り返しによる改善で
すべてが成立しているわけではないということ。
人間の生活や行動によって、予想しないような動植物の生態系の変化が起こること。
コミュニケーションがとれそうで、とりたくて、でも、
そこは自然倫理の中で違う周波数の者同士。
重なる瞬間があったとしても、深く関与してはいけない。自然の掟。
トラでも何でも愛玩できると思いがちな、
人間の現在の動物観を正すような、
ピリッとした厳しさを感じてほしいと思います。