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9文学

真藤順丈『宝島』果てしない沖縄への憧憬の彼方、私には『夜と霧』レベルの問題提起

らこ先生
読めば読むほどに

自分の在り方を考えさせられる

知れば知るほどに

都合よく愛して結局何もできてない

自分を恨めしくも思う

どうしたらいいのか

それが私にとっての沖縄本です。

 

知らないこと、いたらないこと、きまりの悪さ、自分の無力さ…

そんな葛藤の波に幾度となく飲まれながら、

やまとんちゅ(大和人…本土の人間)の私は

 

その裏に耐え難い苦難を隠しつつ、

すべての混濁を超越するかのような、

おおらかで美しい沖縄の土地と人に

憧憬をいだき続けてしまうのです。。。

 

らこ先生
みんみも、大人になってから

沖縄でこころの傷と疲れを癒やしてもらうんだよね。。。

みんみ
本当?旅行で?
らこ先生
いや…仕事辞めたと思ったら、

いきなり関東飛び出して、3ヶ月位

壺屋の酒場の路地裏のマンスリーに住んでたよ

みんみ
そうなんだ!大人になった私って思い切りいいんだね
らこ先生
そうだね。いざとなると誰よりもね

沖縄の海

真藤順丈『宝島』-日本人にとって『夜と霧』以上の倫理的価値のある本だと思う

私にとって、

高校生の時に読んだ『夜と霧』はナチスの収容所で生き抜いた人々の人間の根源的な在り方について、

深く心に残る作品でした。

今も、【人生の10冊】に選ぶであろう本です。

だけど、ドイツの人々がその歴史を深く学ぶように、

 

私達日本人は、

沖縄戦について、どれだけの事を学ぶ機会があったのでしょうか。

 

幸いなことに、私は中学・高校と現地での学びの機会を

持つことができたものの…

非常に言いにくい恥ずかしいことなのですが、

 

現地で平和学習をすると、

 

身震いをするほどの恐怖と悲しさを感じ、

被害や平和の尊さを学び、沈痛な面持ちで過ごすのですが、

 

ひとたび観光スケジュールに一転すると、

ものすごい島の魅力に骨抜きにされて、

浮かれちゃうんですよね。

 

これがいいことか悪いことかはさておき、

ほとんどの学生さんはそんな感じなのではないでしょうか。

 

たぶん行ったことがないので、わからないのですが、

アウシュヴィッツは、収容所跡地やガス室を見た後で、

こんな素敵すぎる景色の観光地に様変わりする、

ような場所ではないのだと思い。

 

なので、私にとっての沖縄戦の教科書、

平和学習の要は、

いつも本でした。

 

灰谷健次郎さんの『太陽の子』であり、

比嘉富子さんの『白旗の少女』

 

丸木ご夫妻の『おきなわ島のこえヌチドウタカラ』

 

検定教科書の無難な数行に収められてしまった、

 

4人に1人が亡くなった悪夢、鉄の暴風の惨禍、そして日本兵の自決強要、

ガマでの阿鼻叫喚の沖縄戦の現実を、

 

私たち自身で選択し、学びを補うことしかできないのです。

 

その後、

沖縄に魅入られた私は、

 

毎年家族旅行で沖縄に遊びに行きつつ

(子どもがまだ小さいので短い旅程を戦跡や資料館に向かうことはしておらず

…そろそろ、と思う中でのコロナ禍)

 

オキナワに恋するナイチャーおすすめ本!観光から沖縄文化論まで / https://oyacoart.com/okinawabooks/

(他サイト)でご紹介したような、

沖縄の文化論を読んだり、ルポルタージュを読んだりして、

沖縄についての知識の前後を埋めていくことしかできませんでした。

 

この『宝島』では、

終戦直後あたりから、主人公4人の物語が始まるのですが、

否応なしに、

 

沖縄の戦後から現在の基地反対運動、

落下事故や米軍犯罪などの脅威にさらされる住民生活、

利潤や権益で対立してしまうという沖縄政治の【中】のこと、

 

の痛々しい実情を埋める(知る)ことになりました。

 

沖縄を「ただ都合よく好き」なままでいいのか、

自分は日本人として、どうしたらいいのか、

図らずも、

 

アイデンティティや倫理観を崩されかねないので、

沖縄が好き、な方ほど、

覚悟を持って読むことをおすすめします。

城

折しも文庫版が発売されました!

 

上下巻の装丁が似ていて紛らわしいようなので、買う際はご注意を。

 

 

ふりがなや意味がついていますが、

うちなーぐち(沖縄の方言)だらけなので、もしかしたら読みにくい方もいるかもしれません。

らこ先生
ハードブックを借りてよんだのですが、付箋や書き込みしたいので、文庫を買おうと思います。
なーやん
よく線引いたりしてるよね
らこ先生
なーやんは、めちゃめちゃ小さい付箋を貼ってるね。あれ便利そうだね。

なーやん
これね

 

らこ先生
ああ、他にも数冊沖縄本を紹介したかったのに…

長くなりすぎたので、

『月と珊瑚』

『アンマーとぼくら』

他は、次回にしたいと思います。

 

最後に、

私は割り切ってエンターテイメントとして読める方か、

腹をくくって(ないちゃー・やまとんちゅであることに)

「沖縄を愛する」と決めた方にしか、おすすめできません。

 

私にとって救いだったのが、

作者真藤先生本人も、

大きな葛藤の中でこの作品を仕上げた、

という思いを知ることができたところです。

 

ハードカバーの方には、あとがきなどが一切なく、

どういう気持で描いたのか、どんな取材だったのか、

そういう部分がわからなかったので。

 

ぜひ、作品を読んでから、こちらの記事を読まれると、

「越境する勇気を描く」『宝島』で直木賞、真藤順丈の沖縄への思い https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59516

いいかなと思います。

講談社BOOK倶楽部 真藤順丈「宝島」特設サイト http://kodanshabunko.com/takarajima/

から、文庫版の試し読みもできます。

 

らこ先生
ちなみに今回の風景画像はすべて自分で撮影したものです。ああ。行きたい…。

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